今現在、私は某デパートのパン屋で働いている。
そこにおいて「仕上げ」というパートを任されている。
仕事内容はデニッシュという焼きあがった生地に
ペーストを絞り、果物を切り、飾り、艶出しをするというもの。
ただ一種類のものを作るのではなく、多いときには
十数種類もの、まるでお菓子細工のようなパンを
作るのである。
前回のアルバイトでは心が躍った。
久しぶりに「線描き」を使用するデニッシュがあったのだ。
・「線描き」とは
線描きとは対象のものに液体状のものを少しずつ垂らし、
何度も往復させ、縞模様、または網目模様を付ける技法である。
今回はホワイトチョコレートを使用した。
自分が使用するのはスプーン。少量だけすくい、
少しずつ垂らす。
過去に経験したのはカラメルとその二つだけだった。
まず始めに湯銭でチョコを溶かすところから始まる。
ホワイトチョコレートは意外とデリケードなのだ。
加熱し溶けるのまではいい。しかし、長時間同じ温度の状態で
放置したり、高温で加熱したりするとチョコレートの性質が変化
してしまい、ゲル状になるのである。これではいざ線描きすると
なると平均的にチョコが流れなくなり、線に斑ができる。つまり、
失敗だ。液体状に溶かすまでは簡単だ。次の作業に入る。次は
チョコが液体から固体に変わる瞬間の温度まで下げなくては
ならない。その理由は、液体状のままだと粘度が低いため
スプーンから落ちるチョコは雫となって落ち、そのままでは
単なる斑模様になるからだ。チョコをその温度まで下げる。
ここからが勝負だ。もし、少しでも温度が下がると一気に
固形化し始めるするからだ。線描きには決断力と速さが必要
不可欠である。今回の商品は12個、1回の線描きで終わらせる
のは自分には難しい量である。しかし、無駄の無い動きで
線描きを開始する。落ちるチョコレート、落ちた瞬間にチョコは
固まり、芸術に変わる。この時間に自分は何かを作っている
という最高の満足感を得ることができる。線描きが終えると
完成だ。そのままお店のメインディスプレイ出され、販売される。
自分が望むのはお客さんに綺麗、おいしそうと思われたいという
ただそれのみなのだ。
・更新ログ
「さぽている」の容姿変更
かずさん、ミルフィさんのリンクの追加
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